2018/08/08 04:27
2 人間狩り
「それじゃあ、きみもなのか、オーウェン。きみまでぼくのことを、見間違えるなんて」男は息を切らせながら、やっとのことでそう言った。「ぼくは呪われている。悪夢を見ているんだ。とてつもなく恐ろしい悪夢を。ああ、神様、これは夢だと言ってください……」
オーウェンはふりあげた火かき棒をおろすと、口ごもるように言った。
「ジャック・ラドクリフじゃないなら……」
「冗談じゃない。誰がそんな」と男は叫んだ。「誤解だ。これは恐ろしい誤解なんだ。そんなに似ているとは、思ってもみなかった」
「似てるとも」ぼくは身がまえたまま、言葉を挟んだ。「ほんとうにそっくりだぞ」
男はあいかわらず、オーウェンの目をじっと見つめている。ぼくの存在には気づいてもいないようだ。
「オーウェン、ぼくを本気で追い返すつもりなのか? 昔、何日もいっしょにすごしたっていうのに……ミシガン湖で釣りもしたし、徹夜で升取りゲームに興じたこともある……それを忘れてしまったなんて、まさかそんな」
わが友はぱっと顔をほころばせると、両手をあげて歓迎のしぐさをした。
「もちろん、覚えているさ、ラルフ。きみを忘れるものか。状況が状況だったので、ちょっとためらっていただけだ。それにわかって欲しいんだが、何年も会っていなかったら、すぐに記憶がよみがえらなくてね。ラルフ、友人でよき話し相手のアキレス・ストックを紹介させてくれ。彼はウェッジウッドの高級食器を扱う会社を経営している。アキレス、こちらはラルフ・ティアニー。アメリカで知り合ったんだ。シカゴの大学に何か月か留学していたときにね。ぼくはそこで美術史を学んでいた。ラルフ、きみはたしか政治学だったな?」
闖入者はほっとしたように微笑むと、うなずいた。
「そのとおり。二人は大学の食堂で知り合ったんだったな。そうそう、きっかけはぼくたち二人に一杯食わせた性悪女だった。覚えているだろう?」
もちろんと言わんばかりにうなずくと、オーウェンはこうたずねた。
「ところでラルフ、今はどうしているんだ?」
「ぼくは外交官でね。ちょうど今夜、ロンドンのアメリカ大使館員と会って、明日から仕事にかかる予定だったのに、こんな恐ろしい誤解のせいで……」
「ジャック・ラドクリフに間違えられたってわけか」
ラルフ・ティアニーはやれやれという表情で、頭に手をあてた。
「そうなんだ。出かける前に床屋へ行こうなんて思い立たなければ、こんなはめにはならなかっただろうにな。まったく、とんだ災難だったよ。あのときは、頭がおかしくなるかと思ったよ……いやまったく、信じてもらえないだろうが……赤い服の女、ブドウ売りの盲人、すっかりいかれたもうひとりの男……」
ラルフは一瞬、おびえた顔をし、それから口ごもるように続けた。
「あんな誤解をされずに、町じゅうを追いまわされることもなければ、あのおかしな連中に出会って廃屋に入りこみ、恐ろしい場面を目にすることもなく……」
彼は最後まで話し続けられなかった。感きわまったのか、声と手が震えている。オーウェンは励ますように友人の肩に手を置き、こう言った。
「まあ、落ちつけ、ラルフ。暖炉のそばに腰かけろ。なにか、元気が出る飲み物を持って来よう。そのあと気分がよくなったら、どんな恐ろしい出来事があったのか、詳しく話を聞かせてくれ。だが、まずはそのコートを脱いだほうがいい」
しばらくして、オーウェンが注いだ強い酒を二口、三口飲むと、ラルフはほっとひと息ついた。顔色も少し戻っている。
「ぼくはどうかしていたんだな。警察官に呼びとめられ、あんなに動転するなんて」と彼は話し始めた。「馬鹿な反応をしたものさ。それは自分でもわかってる。でも、思わず逃げ出して、裏通りに迷いこんでしまった。急に怖くなったんだ。たぶん、日が暮れかけていたせいだろう。ぼくは数時間前に着いたばかりだった。異国の知らない町で、たったひとりだった……ああ、とんだ窮地に陥ってしまった。警察がぼくの話を信じてくれればいいのだが」
「そのことなら、心配はいらないさ、ラルフ。警察のお偉方には何人も友人がいるからね。あんなふうに追いかけたりして申しわけなかったと、むこうから謝ってくるだろうよ」
「そこまでは望んじゃいないさ。ただ、こんな人違いだけはもう勘弁して欲しいな」
よくよく見ればラルフと逃亡犯は、そっくりというほどもなかった。ぼくもオーウェンも、その点では意見が一致した。ラドクリフはもっと顎が突き出ている。けれども状況しだいでは、見間違えたとしても不思議はなさそうだ。
「ぼくまでうっかり間違えたのは」とオーウェンは弁明を始めた。「ちょうどラドクリフのことを話していたところだったからなんだ。それにぼくには、心配せねばならない理由があってね。やつが逮捕されたのには、ぼくも一役買っていたんだ。それにやつの事件に多少なりとも興味を持ったのも、もとはと言えばきみが原因だったし。新聞に載ったやつの写真を見て、きみに似ていると思ったんだ。でもまあ、あの悪党の話はこれくらいにしよう。ここらでそもそもの初めから、ことの次第を聞かせてくれ」
ラルフ・ティアニーはうなずくと、もじゃもじゃの髪の毛に手をやった。
「そもそもの始まりは、今朝まで遡るかな。ぼくはポーツマスで船を降りると、汽車と辻馬車を乗り継いで、予約してあったヘイマーケット近くのストーンホール・ホテルに着いた。簡単に身支度をすませ、昼食をとったあと、町をひとまわりしようとホテルを出た。ロンドン塔にでも行こうと思って。辻馬車を呼びとめたとき、ちょっとした出来事があってね。今にして思えば、それがこの狂気じみた事件と結びついていたんだ。誰かがぼくと同時に、御者に合図したのさ。五十歳くらいの礼儀正しい男で、身なりもきちんとしている。ところがなぜかぼくは、連れのほうに目を引かれた……」
「彼女の美しさゆえだろ?」オーウェンは冗談めかして言った。
「ああ、でもそれだけじゃない。彼女はたしかにとても美しかった。フリルのついた薄紫色のドレス、花で飾った麦わら帽。帽子の下からは、うっとりするような顔がのぞいている。ぼくらの視線が一瞬交わったかと思ったら、夫らしい男のほうがどうぞお乗りくださいと言った。そういうわけにはいかないと、ぼくも答えた。女の澄んだ大きな目には、なにかしら心底ぼくを動揺させるものがあった。おまけに彼女の香水の、ほんのりとした甘い香りときたら……本当になぜかはわからないが、ぼくはこの謎めいた女性にあらがいようもなく引きつけられるのを感じて……」
「おいおい、ラルフ、しっかりしろよ」オーウェンは友人らしく、親しみをこめて叱咤した。「きみはイギリスに着いたばかりだというのに、最初に出会った見ず知らずの女性にたちまちひと目惚れしたってわけか。まったく、少しも変わっていないな」
「きみだって彼女に会ったら」とラルフは当惑したように言った。「ぼくの気持ちがよくわかるだろうよ」
オーウェンは控えめに咳払いをした。
「そりゃあ、ぼくはひとり身を続けているが、これでもその方面では経験豊富なんだ。だからどんなときでも冷静さは失わないし、安易な評価も下さない。いかに胸躍るような美女を前にしてもね。それはともかく、先を続けてくれたまえ。ここまでのところきみの話は、ごくありふれた日常生活の偶発事にすぎないが」
ぼくはじっと我慢して、なにも口を挟まなかった。つい昨晩、わが友は紹介されたばかりのデンマーク王女のことを、みなの前で褒めちぎったばかりだった。優雅で、非の打ちどころない美しさだと言って。これでもかとばかりに美辞麗句を並び立てるものだから、いっしょにいたわたしのほうが恥ずかしくていたたまれず、さっさと退散したくらいだ。こんなふうにオーウェンは芸術家という立場を隠れ蓑にして、いつも自由奔放にふるまっていた。
「そんなこんなで」とラルフは続けた。「とうとうぼくは辻馬車に乗るよう説得されてしまった。その紳士いわく、遠くまで行くわけではないので、歩いてもさほど変わらないからと。散歩から戻ったときは、もう日が暮れかけていた。ぼくはパブで簡単に夕食をすませると、ここへむかった。きみの住所は友人から聞いていたし、待ち合わせの前にひと言挨拶していく時間があるだろうと思ってね。きみはアメリカでも有名人なんだぞ、バーンズ。新聞記事で読んだけれど、いくつもの難事件を鮮やかに解決したそうじゃないか」
「記者連中の言うことなんか、真に受けるもんじゃない」とオーウェンは言い返した。口ぶりこそ尊大だが、まんざらでもなさそうだ。「あいつら、いつだってあることないことまくしたてる。真実をねじ曲げなければ気がすまないんだ」
「日はとっぷりと暮れ、ビッグベンの鐘が八時を打つのが聞こえた。ぼくはのんびり通りを歩いた。きみに再会できると思うと、とてもうれしかった。とそのとき、警官にいきなり呼びとめられた。びっくりするほど、居丈高な口調でね。
『動くな、ジャック・ラドクリフ、もう逃げらないぞ』
『ジャック・ラドクリフ? わたしはそんな名前ではありません』ぼくは腹が立つよりびっくりして叫んだ。すると警官は、ぼくの腕をむんずとつかんだ。
『しらばっくれるな。さあ、おとなしくついてくるんだ』
ぼくは警官の手を力いっぱい振りほどき、パスポートを見せようとポケットを探った。ところがまずいことに、パスポートはうっかりホテルに置き忘れていた。そんなぼくのしぐさを見て警官はあわてたのだろう、呼子を取り出して仲間に急を知らせた。それで今度はぼくのほうが怖くなり、いきなり逃げ出してしまったんだ。ほどなくあたりに呼子の鳴る音が響きわたり、ぼくはパニックに襲われた。そのときになって、ようやく事情がつかめてきた。そういえば凶悪犯が逃亡中だという記事が、新聞に載っていたじゃないか。ちょうど今日の午後、それを読んだばかりだった。息を切らせながら、舗道を一目散に逃げれば逃げるほど、ぼくの話を信じてもらうのは難しくなるとわかっていた。いつなんどきつかまらないとも限らない。もう、追いつめられた獣も同然だ。ぼくは暗い裏通りの迷路を、ひたすら走り続けた。今、自分がどこにいるのかもまったくわからないままに。
でも、それがかえってよかったのかもしれないな。だってどっちに行こうか迷ったり、つまらない小細工をしようとしたりして時間を無駄にせず、ただ逃げることだけを考えたから。怒り狂ったようにあとを追ってくる猟犬どもから逃れることだけをね。ときにはすぐそこまで追いつかれ、警官同士の話す声まで聞こえることもあった。それでわかったのだけれど、やつらはぼくを見て、行方をくらました囚人を見つけたと思いこんだらしい。けれどももうぼくは、誤解を解いて身のあかしを立てようとは考えていなかった。あんまり恐ろしかったので、本当に絞首台にかけられるような気になってしまったんだ。家の軒先や塀のくぼみに身をひそめ、ひと息つくこともあったけれど、そのたびやつらはぼくの足跡を嗅ぎわけ、本物の猟犬みたいにこっちへ迫ってくるのだった。追跡劇は一時間も続いただろうか。いや、もっとかもしれない。ぼくはもう、時間の感覚もなくなっていた。
追手をまいたあとも、ぼくは路地や裏庭の奥へとどんどん入りこんでいった。今、自分がどこにいるのか、まったくわからなかった。ともかく逃げるんだ。猟犬の群れを、できる限り引き離さなくては。頭にはそれしかなかった。やがて狭い路地の角に、明るい居酒屋が見えた。ぼくはそこでひと休みしようかと思った。走り続けたあとだったので喉が渇いていたし、体じゅうくたくただった。それに帰り道も、簡単に教えてもらえるだろう。けれどもノブに手をかけたところで、ふと思った。店に入るのは、あぶないかもしれないぞ。またジャック・ラドクリフと間違われるかもしれないからな。そうためらっていたとき、路地にいた男が声をかけてきた。
『あんた、喉が渇いているのかね?』
『ええ、まあ』ぼくはそう答えて、ふり返った。路地の奥まった薄暗がりに、ぼんやりと人影が浮かんでいる。
『そいつは驚きだ。だって、今夜はこんなに暑いのに……』
『なんですって?』ぼくは男に近寄りながら、たずね返した。
年齢不詳の背の高い男で、だぶだぶのコートを着て、古ぼけたシルクハットをかぶっている。
『北極みたいに暑いって言ってるんだ』と男は続けた。
『話がよくわかりませんが』怪しい男だと身がまえながらも、ぼくは好奇心にかられて言った。
『わたしと同じように、今日、砂漠を横ぎって来たなら、あんたも震えあがっただろうね。一日中、砂漠にいたら、喉の渇きなんか吹き飛んでしまうさ』
『砂漠なんて、どこにあるんです?』
『そりゃ、ここさ』と言って、男は小路を指さした。『それじゃあ、あんたはあのまばゆい太陽が見えんのか?』
『太陽?』
『こっちへ来い』
男はついて来るようにと合図した。ぼくたちは、通りがゆるいカーブにさしかかるあたりまで歩いていった。
『あそこだ』男は路地の奥を指さして言った。『ほら、四、五十メートル先の左側、ポーチのうえにランタンが灯っている。あれが太陽の代わりに、狭い路地の闇と必死に闘っているんだ。とまれ、あのランタンは、常軌を逸したわが心を照らしてくれた。精神病院こそ、終の棲家にふさわしいこの男の心を』
『ああ、なるほど』とぼくはしたり顔で言った。『じゃあ、そろそろ行かないと』
『それがいい。ヴィヴィアーヌによろしく言ってくれ』
『ヴィヴィアーヌ?』
『ほら、ポーチの下に人が二人いるだろ。その片方だ』
ぼくは二つの人影をじっと見つめながらたずねた。
『ヴィヴィアーヌっていうのは、妖精でしょうか?』
ぼくの言葉がよほどおかしかったのか、男は涙が出るほど笑った。
『いやはや、妖精のヴィヴィアーヌとはね。こいつは傑作だ。思ってもみなかったよ。確かに彼女は、妖精にふさわしい善行を施しているがね』
『それはそうと、ここがどこなのかわかりますか?』
すると男は、突然顔をこわばらせた。
『馬鹿にするな。ここはクラーケン・ストリートだ。字が読めんのか?』
男は居酒屋のすぐわきにある、通りの標示板を指さした。ぼくは小路の名前をたしかめようと引き返した。それにしても、ずいぶん奇妙な名前じゃないか。建物のガラス窓から射す光で確かめることができた。今度ばかりは、男の言うこともでたらめではなかった。
ぼくは男をふり返って、教えていただき助かりましたとお礼を言い、また歩き始めた。暗い裏通りを進むにつれ、暑くてたまらなくなってきた。夜気はひんやり冷たかったけれど、次から次へと恐ろしい出来事が続き、神経が過敏になっていたせいだろう、直感的に異常を察した。どうもここは、なにかがおかしい。道の両側には、薄汚れたレンガ造りの城壁にドアや窓をつけたみたいに、家がずらりと並んでいる。膝ががくがくするあまり、足の下で地面が揺れているような気がした。明かりに照らされた玄関を背にして立ってる二人のところまで来た。奇妙な二人だった。ひとりは盲目らしい男。もうひとりはブロンドの髪をした、厚化粧の女。女は編みあげ靴を履き、赤いケープをはおっている。なるほど、さっき別れた男が大笑いして言った言葉の意味がわかった。
そのとき、女が声をかけてきた。
『そこのぼうや、ヴィヴィアーヌといっしょに天国をひとめぐりしようっていうのかい?』
『天国なんて、まだ早いですよ』ぼくは面白がって言った。『そんなに急いで行くつもりはありません』
『みんな初めはそう言うわ』と女は冗談めかして答えた。『でもいったん味わったら、もうやめられなくなるわ』
となりの男は帽子をぐっと目深にかぶり、黒いサングラスをかけていた。そんなわけでぼくは、目が見えないのだろうと思ったのだ。手が震えているところからも、それは間違いなさそうだ。暗闇のなかを探るみたいに、前に突き出した手を揺すっている。男はブドウをのせた小さな台を、革ひもで肩から胸の前に吊りさげていた。目は見えなくとも、口のほうは女に劣らず達者なようだ。
『ブドウ、ブドウ、おいしいブドウがひと袋五シリング』と震える声で繰り返している。『だんな、お買い得、とてもお買い得ですよ……』
『残念ながら、持ち合わせがなくてね』ぼくはポケットを手で探りながら答えた。『身分証も忘れてきてしまい、おかげで今夜は散々な目にあったさ。ほら、手もとにあるのはライターと煙草だけさ』ぼくはそう言って、申しわけなさそうにポケットの中味を見せた。
『おいしいブドウ、おいしいブドウだよ』男は震える指で黒いブドウをつまみあげて繰り返した。
『お黙り』と隣の女がうなり声を発した。『こちらはお疲れなんだよ。休息が必要なんだ』
『やっぱりわかりますか?』ぼくはため息まじりに言った。
『そうね。でも、ゆっくり休んだら、また会いに来るわよね、ぼうや』女は悩ましげなウィンクをして、そう続けた。
『ええ……まあ』ぼくは口ごもった。
『それじゃあ、おむかいの家に行くといいわ』女はすぐわきの玄関ドアを指さした。『右側の階段から二階へあがり、左へ曲がってひとつ、二つ部屋を通りすぎたむこうに、ひと休みできるところがあるから』
『それはありがたい』ぼくはほっとして答えた。これで女の申し出をやんわり断れる。家に入ったら裏口を見つけて逃げ出せるだろうと、ひそかに思っていた。そこでぼくは赤いケープの女と盲目の男に礼を言い、むかいのドアから家のなかに入った。ドアには鍵がかかっていなかった。なかは物音ひとつしない。明かりもまったくついておらず、右側の階段から光がぼんやり射しているだけだ。ぼくはらせん階段を用心深くのぼって二階にあがった。じめじめとしてこもった臭いが、あたりに染みついている。階段をのぼりきった先には、廊下が続いていた。廊下は左右、真ん中と三方向に分かれていた。ぼくは妖精のヴィヴィアーヌに言われたとおり、左側にむかった。ゆるんだ床板が、足の下でぎしぎしときしんだ。進むにつれ、あたりはどんどん暗くなっていく。部屋を二つ、三つ、手探りしながら抜けた。そしてようやく着いたのは、奇妙な部屋だった」
「奇妙な部屋?」ラルフの話にじっと聞き入っていたオーウェンがたずねた。「それはどういう意味なんだ?」
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